滝乃川学園成立史の研究 : 初期の学園の性格について
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概要
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わが国最初の精神薄弱児施設滝乃川学園の創設期については史料的制約のためこれまでに充分な解明がなされていなかった。本研究は学園が「白痴」教育施設として発足する時期を確定し、その初期の性格と歴史的役割を追究した。滝乃川学園は1891年石井亮一によって孤女教育施設として設立され、1897〜1901年の準備期を経て1902〜1905年に「白痴」教育施設へと転換した。初期には学校教育から疎外された「白痴児」を対象とする教育・治療施設がめざされ、保護収容的な性格は有していなかった。財政基盤を内外人の寄付金と父兄からの学費収入に置き、とくに後者を中心にしたために入園者は学費を支払いうる富裕階級の子弟が主体となった。経営的には比較的安定し完備した教育施設として草創期のわが国精神薄弱教育に先駆的な役割を果たした。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1986-12-29
著者
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