幼児における知識の提供と非提供の使い分けが可能になる発達的プロセスの検討 : 行為抑制との関連
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概要
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本研究では,相手によって知識の提供と非提供を使い分けられるようになる発達的プロセスを検討した。105名の幼稚園児(3〜6歳児)を対象に,隠し合いゲームを実施し,ゲームの流れの中で協力場面,競争場面を設定した。どちらの場面でも,子どもは宝物の隠し場所を見たが,協力相手,競争相手はそれを見なかった。協力相手に正しい知識を提供すれば,宝物は子どもの宝箱に人った。一方,敵である競争相手に正しい知識を提供すると,宝物は競争相手に取られてしまった。いずれの場面でも,協力相手,競争相手は,まず,子どもに「知ってるかな?」と尋ねた。その後,子どもが知識を提供しなかった場合は,「教えて」と尋ね,知識伝達を促した。その結果,年少児(3歳児)では,両場面で,「知ってるかな?」と質問された時点で隠し場所を指す,即時性の強い反応が最も多くみられ,この反応は年齢の上昇と共に減少した。一方,正答である競争相手には知識を提供せず,協力相手のみに知識を提供するという使い分けは,年齢の上昇と共に可能になった。さらに,上記の課題で知識の提供と非提供を使い分けられる子どもは,既知の対象に対する行為抑制が必要な実行機能課題(葛藤課題)の成績もよかった。以上から,相手によって知識の提供と非提供を使い分ける能力の発達に,既知の対象に対する行為抑制の発達が関連することが示唆された。
- 2008-05-10
著者
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