「ベイズ型くじびき課題」における推論様式の発達
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概要
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本研究では,ベイズ型推論課題解決の発達過程を,確率量化,すなわち課題を確率的に解決する際の知的操作の水準の違いという観点から分析することを目的とし,構造を維持しつつも内容を単純化した「ベイズ型くじびき課題」を用いて,確率量化の水準を発達的に明らかにできるような調査を行った。その結果,(1)中学生の多くは確率の1次的量化(中垣,1989)のみ可能な水準にあるが,大学生は概ね2次的量化が可能な水準にあること,(2)基準率無視(Kahneman & Tversky, 1973)の代わりに尤度無視が多数出現し,基準率無視が課題内容に依存する反応であること,(3)人は必ずしも代表性ヒューリスティツク(Tversky & Kahneman, 1974)などを用いて課題解決をしているのではなく,大学生でも,3次的量化を必要とするベイズ型推論課題の構造そのものの把握に難しさがあること,すなわちコンピテンスに問題があることが示された。
- 日本発達心理学会の論文
- 2008-05-10
著者
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