隧道出稼ぎ労働者の死亡率

概要

論文の詳細を見る
隧道出稼ぎ労働者の健康状態について死亡率の面から検討するため,古くから隧道工事を専門とする出稼ぎ地帯である,大分県南の海岸部の2町においてretrospective cohort studyを実施した.1975年当時,30〜69歳の男性住民をその出稼ぎ歴によって,隧道出稼ぎ歴のある者(1,078名)と隧道出稼ぎ歴のない者(943名)に分類し,1975年1月1日から1983年6月30日まで追跡した.隧道出稼ぎ歴のある群では,全死因において62%の有意な超過死亡が認められた.死因別にみると,隧道工事と関連が深いと考えられる呼吸器系結核,工業性の不慮の事故,じん肺のSMRが,それぞれ3,267,1,000,26,000と著しく高率であり,すべて有意差が認められた.これら3疾患が全死亡の実に55.7%に達していた.年齢階級別期待死亡比をみると,40〜49歳,50〜59歳,60〜69歳の3つの年齢階層において,有意な超過死亡が認められた.一方,隧道出稼ぎ歴のない群では,全死因のSMRが89であり,超過死亡は認められなかった.また,いずれの死因にも,いずれの年齢階級にも有意な超過死亡は認められなかった.肺がんのSMRは,隧道出稼ぎ歴のある群では140と有意差はなかったが,比較的高率であるのに反し,隧道出稼ぎ歴のない群では,24と著しく低率であり,注目された.
社団法人日本産業衛生学会の論文
1988-11-20

隧道出稼ぎ労働者の死亡率

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク