チェンソー使用伐木労働者の肘関節X線学的変化

概要

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チェンソーを使用している伐木労働者に高度の肘関節の変化を有する者が多いことが報告されている.そこで,彼らの肘関節の変化と労働要因との関連を明らかにする目的で,肘関節X線上の骨増殖性変化を定量化し,confounding factorとしての年齢をmatchingして,control group(道路工手)と比較検討した.また,同様にして,伐木労働者をチェンソー使用経験年数別に3段階に分類して比較し,チェンソー使用量による肘関節への影響を検討した.その結果,チェンソー使用伐木労働者の肘関節X線学的変化はcontrol group(道路工手)と比較して有意に高度であった.また,伐木労働者をチェンソー使用経験年数別に分類して比較した結果,差は有意でなかったが,チェンソー使用経験年数が長くなるにしたがい,肘関節X線学的変化は高度になる傾向が認められた.しかし,チェンソー使用経験年数別に分けた3群の間にはチェンソーの使用を開始する以前の労働内容に若干の違いがあるため,チェンソー使用量と肘関節X線学的変化の間に直ちにdose-response relationshipがあると結論することはできないが,本研究の結果はその可能性を示唆するものであると考えられる.
社団法人日本産業衛生学会の論文
1985-05-20