2.1 1枚の葉から森林総生産へのスケールアップ : ブナ林での適用例

概要

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大気二酸化炭素濃度吸収に果たす森林の役割を評価するには、森林の総生産(GPP)を簡単に推定する必要があると思われる。この研究ではKikuzawa & Lechowicz (2006)によって提唱された新しい手法を用いて、ブナの葉の生涯光合成量を推定した。モデルは、平均瞬間最大光合成速度、平均労働時間および葉寿命の積が葉の生涯光合成量を与える。また森林の年間落葉量と葉の生涯光合成量の積がGPPを与えるというものである。14年生ブナ林から任意に選んだ、28枚のブナの葉について、その瞬間最大光合成速度(A_<max>)を経時的に測定し、その時間方向への低下を直線で近似した。このパラメーターから、葉の平均労働時間を推定したところ、1.5hr day^<-1>となった。また葉の生涯光合成量は3.0g g^<-1>と推定された。さらにこの林分の年間落葉量は別途設定した10個のリタートラップを用いて363gm^<-2>yr^<-1>と推定された。これらからこの林分の年間総生産量の推定値は33ton ha^<-1>yr^<-1>となった。
石川県立大学の論文
2007-03-31