2.2 PCRを用いた走鳥類雌雄鑑別法の確立
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
環境問題の影響は、人間生活のみならず多くの動植物にも及び、様々な動植物種が絶滅の危機に瀕している。2003年に絶滅した日本産のトキをはじめとして、鳥類も例外ではない。こういった絶滅危惧種、あるいは生物資源の維持にためには、性的単一形が多く見られる鳥類の性別鑑別技術が欠かせない。本研究では、これまで鳥種別の条件にて行われることが多かったダチョウ、エミュー、ヒクイドリ、レアなどの走鳥類(平胸類)の雌雄鑑別を同一の条件で行える技術を確立するとともに、より簡便な羽軸からの安定したDNA調製を試みた。ダチョウ4個体、エミュー44個体、ヒクイドリ5個体、レア4個体、合計57個体から羽軸を採取しDNAを調製後、PCRによる雌雄鑑別を行ったところ、50個体において可能であった。雌雄鑑別が困難であった7個体中5個体は、同一個体の異なる羽軸を用いて再度DNAを調製することで雌雄鑑別が可能であった。さらに、雌雄鑑別に用いた性染色体特異配列kWl由来のPCR増幅物は、ヒクイドリ科に属するヒクイドリとエミューにおいてのみ、Z染色体上で重複が起きていることが観察された。これにより、ヒクイドリ科に属するヒクイドリとエミューのkW1配列は、系統分類上、ダチョウ科やレア科と分岐したのちに重複が起きたこと、さらに鳥類の性決定はZ染色体の発現量の影響を受けることから、性決定候補遺伝子探索のマーカーになる可能性が示唆された。
- 2008-03-31
著者
関連論文
- 2.2 PCRを用いた走鳥類雌雄鑑別法の確立
- ウシ卵巣から600μm 未満の卵胞と卵母細胞対の分離方法が回収率に及ぼす影響
- 新鮮材料と組織切片で観察されたウシ卵胞、卵母細胞の直径の差異について
- アイガモ卵の孵化率と卵重減少率に及ぼす冷水噴霧と冷水散布の影響
- 卵巣嚢腫乳牛における卵胞と卵子の対比成長測定学的研究
- 2.1 1枚の葉から森林総生産へのスケールアップ : ブナ林での適用例
- ウシ卵巣の前胞状卵胞および胞状卵胞における卵胞と卵母細胞の成長に関する対比成長測定学的研究
- 乳用未経産牛の人工授精直後の陰唇刺激が受胎率に及ぼす効果
- 3.1 ポケットゼミ実施記録
- ポケットゼミ実施記録
- 2.1 ポケットゼミ実施報告
- ポケットゼミ実施報告
- 3.3 ポケットゼミ実施記録
- 3.2 携帯電話を利用した講義
- 3.6 ポケットゼミ実施記録