水中における手袋着用時の手の温熱感受性と生理反応
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概要
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水中で,熱伝性の異なる手袋2種を着用した時の手の温熱感受性と生理反応の変化について検討した.手の温熱感受性の指標は,心理学的測定法による弁別閾値から求めた不確定帯(IU: interval of uncertainty)を用いた.はじめに,11種の水温(15〜40℃)(標準刺激)と,1℃/minで段階的に上昇する水温(比較刺激)を準備し,左右の手を同時に手首まで浸漬し,左手に対する右手の上・下弁別閾値を求めた.次に,上・下弁別閾値の差から不確定帯(IU)を算出した.被験者は女子学生9名である.手袋の有無にかかわらず,上・下弁別閾値は水温よりわずかに低くなった.しかし,不確定帯(IU)は水温による変化は見られなかった.このことから,手の温熱感受性は水温による影響がほとんど見られないと考えられる.弁別閾値の測定と同時に水中の手の指先皮膚温及び指先皮膚血流を測定した.指先皮膚温,指先皮膚血流は水温とともに明らかに上昇した.また,指先皮膚温,指先皮膚血流の上昇は手袋の種類によって異なった.さらに,水中では,手袋を着用することによって血圧の上昇をおさえる傾向が見られた.すなわち,水中における手の生理反応は,水温や手袋着用によって変化するが,温熱感受性はそれらに影響されないことが明らかになった.
- 社団法人日本家政学会の論文
- 2008-01-15
著者
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