発生源PM_<10>/PM_<2.5>測定システムの開発 : 口径可変式吸引ノズルの活用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年,固定発生源ダスト測定においても,人体影響の観点から微粒子に対するPM_<10>/PM_<2.5>サンプラの研究が積極的に行われるようになった。しかし、現在検討されている各種サンプラでは,基本原理である定流量等速吸引法による測定は排ガスの流速が変化した時に困難となり,大きな測定誤差を招く結果となる。本研究は,発生源PM_<10>/PM_<2.5>測定を正確かつ簡単に行うことを目的に,口径可変式吸引ノズルとPM_<10>/PM_<2.5>インパクタ及びマイコンを用いる排ガス自動採取システムを組み合わせた測定システムを試作し,各種の実用化特性試験を行った。試験粒子を用いた特性試験及び現場実証試験の結果,測定システムの実用化に目途を立てることができ,併せてPM_<10>/PM_<2.5>インパクタの測定上の幾つかの基本的特性や留意点などを明らかにすることができた。一連の試験結果で得られた主な知見は,以下の通りである。1)試作したPM_<10>/PM_<2.5>測定システムは,急激な排ガス流速変動にも瞬時に対応でき,常時簡単に定流量等速吸引によるPM_<10>/PM_<2.5>サンプリングが可能である。2)現場測定に際して,PM_<10>/PM_<2.5>インパクタの前後処理,分解・組み立て,分級板や捕集板(平板ろ紙)の交換など,極めて簡便かつ迅速に行うことができる。3)フライアッシュ試験粒子の場合,非等速吸引によって粗大粒子の取り込み量は大きく変化したが,PM_<10>とPM_<2.5>の捕集割合はサンプリング誤差に対してほぼ一定になった。一方,濃度誤差は,PM_<10>/PM_<2.5>インパクタにおけるPM_<10-2.5>捕集部の再飛散粒子が下降流に同伴し,PM_<2.5>捕集部に捕集されることにより生じるもので,この結果PM2.5測定値を大きくすると考えられた。4)実燃焼排ガス中のダストでは,フライアッシュ試験粒子のようなPM_<10-2.5>捕集板上での再飛散は確認されなかった。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2008-01-10
著者
-
田森 行男
工学院大学
-
酒井 茂克
北海道環境研
-
小暮 信之
(独)産業技術総合研究所
-
酒井 茂克
北海道環境科学研究センター
-
小暮 信之
産総研
-
田森 行男
日本品質保証機構
-
小暮 信之
独立行政法人産業技術総合研究所
-
酒井 茂克
北海道立総合研究機構環境科学研究センター
関連論文
- 北海道における積雪成分の長期変動(1988-2008年)
- 1B1500 北海道内積雪成分の長期変動について(5物質-3酸性雨,一般研究発表)
- 中国都市部(ハルビン市・瀋陽市)における大気中変異原活性
- P32 瀋陽市(中国)における大気中変異原活性
- 2E1116 摩周湖における酸性霧の測定結果について(5物質-3酸性雨,一般研究発表)
- 中容量方式に基づくダスト試料採取システムの実用化
- 排ガス中のPM_/PM_測定法に関する研究 : インパクタ法の問題点と対策
- 大気浮遊粒子,河川水および土砂の変異原性モニタリング : 7年間(1996〜2003年)の結果
- P016 変異原性・活性酸素種から見た、燃焼粉塵の環境毒性
- 3F1434 塗装ブースにおける塗料ミスト・粉じんの実態調査(4過程-1排出,一般研究発表)
- 3B1458 フィルターパック法による短時間サンプリングのための対応策(5物質-1ガス状物質,一般研究発表)
- 3B1446 フィルターパック法におけるサンプリング期間の比較(5物質-1ガス状物質,一般研究発表)
- 1I1700-3 発生源PM10/PM2.5測定法の問題点(発生源PM2.5測定方法の標準化と問題点,9.発生源対策分科会,分科会)
- 発生源PM_/PM_測定システムの開発 : 口径可変式吸引ノズルの活用
- 排ガス中のPM10/PM2.5測定方法の標準化--ISO化の現状と課題 (特集 粉体技術とISO/JIS規格)
- 凝縮性ダストを含む排ガス中の粒子濃度測定方法の調査研究
- 排ガス中のミストの粒径測定方法
- 排ガス中のミストサンプリングに関する研究
- 吸込ノズルを用いた動圧平衡形等速吸引装置の開発
- 発生源ばいじん濃度測定装置の開発
- 参照静圧管を利用した静圧平衡形等速吸引装置の開発に関する研究
- 動圧平衡形等速吸引装置の自動化に関する研究
- ダブルビ-ム式光透過形ダスト自動計測器の特性に関する実験報告
- P-95 ディーゼルエンジンにおける未規制物質の排出特性(ポスター発表)
- フィルターパック法による亜硝酸ガス濃度の測定
- P-038 変異原性から見た過去四半世紀における都市大気粉じんの質的変遷
- 3I1130 札幌市における大気中変異原活性の長期変動 : TA98・TA100株による24年間の測定
- O2-1 大気中変異原性への多環芳香族炭化水素及びニトロ多環芳香族炭化水素の寄与(一般口演(2) : 変異原物質)
- 中小塗装現場におけるVOCの排出実態(その2)塗料ミスト・粉塵排出実態と新規VOC対策技術
- 3E1000 I 型ダスト試料採取装置の改良
- 2G1030 札幌、東京、金沢、北九州の大気浮遊粉塵の変異原性 : YG10008株(CHL)による比較
- 1J1512 定流量等速吸引法の検討(その6) : 口径可変式吸引ノズルの自動制御システム(5物質-2粒子状物質,一般研究発表)
- 口径可変式ダストサンプラの開発
- 3E0945 定流量等速吸引法の検討(その 2) : 吸引ノズル口径可変式ダストサンプラの特性試験
- 1I1700-1 固定発生源におけるPM10/2.5測定方法 : ISO化の現状(発生源PM2.5測定方法の標準化と問題点,9.発生源対策分科会,分科会)
- 1J01 固定発生源からの凝縮性ダストを含むばいじん排出調査(3)
- 北海道における積雪成分の分布図
- P-100 札幌市内の道路端及び住宅地における大気中多環芳香族炭化水素(PAHs)/ニトロ多環芳香族炭化水素(NPAHs)濃度の長期変動(ポスター発表(アカデミックプロムナード))
- Ahレセプターとの親和性から見た大気浮遊粉じんのリスク評価--札幌における30年間(1975-2004)の調査から
- P36 幹線道路端における大気浮遊粉じんおよび土壌の変異原性
- P31 大気中ニトロアレーン濃度の長期変動
- 道内3地域の大気中及び土壌中変異原活性
- 3I1115 大気浮遊粉じん中PAH、NPAH濃度の地点別・季節別プロファイル
- 大気浮遊粒子,河川水および土砂の変異原性モニタリング
- P-42 大気浮遊粉じん変異原性の地点別・季節別プロファイル
- P-151 北海道における大気浮遊粉塵及び土壌試料の変異原性
- 2G1045 大気浮遊粉塵抽出物の塩基対置換型突然変異スペクトル
- JISが規定する測定方法の現状と課題--大気汚染防止法における手分析的測定法を例に (特集 公害防止と環境管理の一翼を担う測定を考える)
- 北海道における積雪成分の分布(1988、1992、1996、2000及び2004年)
- CCA処理木材の焼却処理に伴うCCA成分の挙動調査例
- 4.3.2 温暖化に関する国際協力 : クリーン開発メカニズムの展開(4.3 国際協力,4.社会と地域環境の関わり,創立50周年記念号)
- 3F1446 小規模固定発生源施設用ダスト濃度計の開発(4過程-1排出,一般研究発表)
- 2A1030 低濃度微小粒子測定用ダスト濃度計の開発(2手法-1計測分析,一般研究発表)
- 公害防止管理から環境マネジメントへ
- 紫外線照射によるエアロゾルの除電
- 海外レポート「How Smell?」ハンガリーの大気事情
- エアロゾルのサンプリングと濃度測定 (エアロゾルの動的挙動)
- 摩周湖の霧酸性化状況及びその要因について
- 関連機関の事業紹介 CDMとその活用
- 中国の最新環境事情
- 2H0945 大気粉じん抽出物の内分泌撹乱作用
- 3G10 室内外粒子状物質のPAH、NPAH濃度と異変原活性
- 2G1100 大気浮遊粉じん中多環芳香族炭化水素及びニトロアレーンの粒径分布
- 寒冷地の都市大気浮遊粉じん変異原活性の経時変動
- 粉塵測定の実際と展望 (ハイテク産業を支える粉塵測定の新しい展開)
- バグフィルタ-の性能測定におけるポイント (バグフィルタ-の選定ポイント)
- 最近の集じん技術
- 基礎粉体工学講座-18-(4)粒子の測定-2-濃度
- ダストの特性解明の手法に関する研究
- アメリカにおける粒子状物質排出規制について
- 発生源ばいじんの濃度測定方法に関する研究
- 排ガス中のダスト及びPM_の連続測定法の検討
- 北日本における亜硝酸ガス濃度と窒素酸化物由来成分の挙動
- P-93 札幌市内の住宅地における大気浮遊粉じんの長期変動(ポスター発表)
- 1E1532 パッシブサンプラーを用いた北海道の春季オゾン濃度測定(5物質-1ガス状物質,一般研究発表)
- 摩周湖周辺の樹木衰退とその要因としての酸性霧の検討(会員研究発表論文)