サッカーにおけるミニゲームを中心とした授業の体力つくりからみた効果 : 中学1年生の6回の授業を通して

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本研究では,サッカーのミニゲームを単元計画全体のなかに組み込んだ6時間の授業の体力つくりからみた効果について検討することを目的とした.そのために,ルールを工夫したミニゲームを実施する群と,フルゲームを実施する群における授業の効果を比較した.茨城県下のI中学校に在籍する1年生21名を対象にミニゲーム中心のサッカーの授業を,また,S中学校に在籍する1年生22名を対象にフルゲーム中心のサッカーの授業を行わせた.単元の前後に,スキルテスト(パステスト,ドリブルテスト),体力テスト(150m方向変換走),試しのゲームを,また,単元後に,サッカーの知識,学び方および技能に関する質問紙調査を行った.本研究の主な結果は以下に示すとおりである.(1)単元後のパスおよびドリブルテストの成績には,いずれもミニゲーム群では有意な向上が認められたが,フルゲーム群では有意な変化は認められなかった.また,両群ともに,150m方向変換走(25m×6本,セット間休息30秒)の1本目の成績(無気的パワーの指標)には単元前後で有意な変化はみられなかったが,全体の成績(6本の平均値)は単元後に有意な向上が認められた.(2)両群ともに,単元前後における試しのゲーム中ボール接触回数,心拍数,主観的運動強度には単元後に有意な変化は認められなかった.一方,ゲーム中の総移動距離は両群ともに低下する傾向を示し,このうちフルゲーム群では有意な低下がみられた.(3)試しのゲーム後の質問紙による意識調査については,ミニゲーム群では,技術面(調整力),体力面(エネルギー系の体力要因),心理面(関心・意欲・態度)のほとんどすべての項目が単元後に増加する傾向を示した.一方,フルゲーム群では,心理面の各項目は単元後に増加する傾向を示したが,技術面,体力面については,同じか低下する項目が多くみられた.(4)単元終了後に行われたサッカーの知識,学び方および技能に関する質問紙調査の結果,ミニゲーム群はフルゲーム群と比較して,サッカーの知識の項目には大きな差異は認められなかったが,学び方および技能の項目はいずれも高値を示す傾向にあった.以上の結果は,ミニゲーム,フルゲームにかかわらず生徒の関心・意欲・態度の形成を損なうことなくエネルギー系の体力つくりに対する効果は認められるが,特にミニゲームを中心に展開する授業は,生徒の学び方や技能に関する意識を低下させることなく,技術または技術習得のもととなる調整力(神経系の体力)の養成に対する効果も期待できる可能性があることを示唆するものである.
2007-12-10

サッカーにおけるミニゲームを中心とした授業の体力つくりからみた効果 : 中学1年生の6回の授業を通して

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