知的障害養護学校における図画工作・美術の歴史に関する研究 :施設における造形表現活動との比較による
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概要
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知的障害養護学校における図画工作・美術指導の教育方法の変遷をたどり,指導の方向性を探る.その方法として同じ知的障害児を対象としていたいわゆる知的障害児・者施設における造形活動の指導を比較する.その結果,近江学園設立時からあった指導者の「四六時中勤務」(職員のための近江学園三原則の一つ)による子どもと共に生活する豊富な時間の中での指導とは異なる養護学校の「限られた時間の中での指導」が明らかになった.本研究が対象とした施設は,粘土という知的障害児・者が主体的に関わることのできる自然の造形素材によって軽度児・者を対象にした職業教育においても重度児・者を対象にした表現教育においても成果を上げてきた.その成果の原因は知的障害児・者と共に生活する豊富な時間にあったと考えられる.一方,体制上限られた時間の中で指導しなければならない知的障害養護学校の現在の課題は,重度・重複化,多様化の中で全ての子どもの造形表現活動をいかに保障するかである.可塑性に富むため,あらゆる造形が可能な粘土は,軽度児にも重度児にも共通して適したものといえる.だから,今後は粘土のような素材そのものに触れることによって多様な造形表現の可能性を引き出すための時間を,限られた時間の中でいかに工夫して確保するかが必要なこととなるのである.
- 2007-12-20
著者
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