プライバシーと知る権利に関する子どもの理解
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概要
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3つの個別研究により,プライバシーと知る権利に関する子どもの理解を検討した。研究1では,小学4年生・6年生・中学2年生・大学生を対象として,同じクラスに属していれば誰もが容易に知り得る情報(公的な情報: たとえば,入っているクラブ活動の名前),容易に知り得ず,私事性の強い情報(私的な情報: たとえば,日記や小遣い帳の内容),両者の申間にあたる情報(準公的な情報: たとえば家で遊んだ友達の名前)を,学級新聞に掲載してもよいか/すべきでないか判断を求めたところ,4年生も年長者と同じように,公的な情報は掲載してもよいが私的な情報は掲載すべきでないと判断することが多かった。研究2では,小学4・6年生は,「よいこと」が書かれた日記や,「よい」動機によって電話番号を教えてほしいと頼まれた場合には情報を開示してもよいと判断し,「悪いこと」が書かれた日記や「悪い」動機によって電話番号を教えてほしいと頼まれた場合には開示すべきでないと判断する傾向が高かった。年長者は,情報内容や動機のよしあしにかかわらず,開示すべきでないと判断することが多かった。研究3では,たとえプライバシーを侵害したとしても,社会の利益となる情報は開示すべきであるという判断が,小学4年生にも一部認められたが,年長者ほど顕著ではなかった。
- 日本発達心理学会の論文
- 2007-12-20
著者
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