糖尿病患者における神経障害と足トラブルに関する看護師によるアセスメントの有用性

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本研究は,糖尿病治療で外来通院している患者を対象として,足トラブルとそれに関連する神経障害,血行障害,関節可動域障害に対して看護師が実施するアセスメント項目の妥当性と有用性を明らかにすることを目的とした。看護師による足のアセスメントは,末梢神経機能の評価(アキレス腱反射,振動覚検査,モノフィラメントによる触圧覚検査),末梢循環状態の評価(足背動脈触知,足関節上腕血圧比;ABPI),足の形状と皮膚状態の評価(足関節可動域,有効接触係数,角層膜厚,看護師の視診による足トラブルの有無)について行った。対象者は糖尿病のため外来通院中の134名の患者(男性63名,女性71名)で,平均年齢は65.8(SD 10.9)歳,糖尿病罹患期間は平均53.3ヵ月(0.1〜366ヶ月)であった。末梢神経機能の評価では,アキレス腱反射消失が120名(89.6%),振動覚低下が69名(51.5%)みられ,アキレス腱反射と振動覚の低下は58名(43.3%),アキレス腱反射,振動覚,足背部触圧覚全ての異常を認めらものは6.0%であった。本研究において糖尿病性神経障害の初期の段階で触圧覚検査のみでは見っけられない神経障害の進行を見極める方法として,アキレス腱反射検査が有効であることが明らかとなった。ABPI検査を受けた37名74肢のうちABPIが0.9未満は8肢(10.8%)で,このうち足背動脈触知不可は5肢(62.5%)であった。動脈触知不能群の割合はABPI0.9未満群で有意に高く(χ^2検定,p=.005),足背動脈の触知が末梢循環状態の評価に有効であることが明らかになった。末梢神経機能低下群において,正常群より発生頻度が高い足トラブルは,ハンマートゥ,凹足,クロウトゥ,胼胝,鶏眼,角質肥厚であった。看護師が末梢神経機能と循環状態,足の形状の評価を実施することにより,神経障害や循環障害,関節可動域の低下によって引き起こされる足トラブルの早期発見につながると考えられる。看護師による足のアセスメントは,糖尿病患者の神経障害の進行と足トラブルの早期発見,予防において有効なツールであることが明らかになった。
神戸市看護大学の論文

糖尿病患者における神経障害と足トラブルに関する看護師によるアセスメントの有用性

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