心筋梗塞を発症した成人病者の見通しの語りとその意味(第8回聖路加看護学会学術大会)
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概要
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本研究は心筋梗塞を発症した入院中の病者が語った見通しとその意味をミニ・エスノグラフィを参考とした帰納法的アプローチを用いて明らかにしたものである。情報提供者は初めて心筋梗塞を発症し,入院した病者3名である。退院までの間に非構成的面接を行い,面接から得た見通しの語りをストーリーとして記述し,その意味を解釈した。さらにその意味を類型化し,共通性,個別性の観点から分析し,考察した。その結果,心筋梗塞の病者の見通しとその意味は個々にユニークなものであったが,その意味は〈身体の信頼と不信の感覚〉〈身体を基準とする行動規範の設定〉〈自己の内的世界の揺らぎと揺らぎへの対処〉〈過去の人間関係を考慮して得られた生きるための人間的なつながりへの期待や葛藤〉〈障害のある心臓で生きる際の妥協と駆引き〉〈未来を生きる人生の軌道の確認〉という点で共通していた。病者の見通しは心筋梗塞を生じた身体,人間関係,社会,自己を結びつけることで描かれ,心筋梗塞を持ちながら生きることの苦悩とその対処,進むべき方向性を示していた。また見通しを語ることは,心筋梗塞を持ち,生きる新たな自己の生成を促進すると考えられた。そして心筋梗塞の病者が自分を取り巻く世界と折り合いをつけ,生きることを支えるための看護として以下のことが示唆された。(1)病者の見通しに目を向け,理解すること(2)病者自身が社会や自己の個人的経験から付与される心筋梗塞の病者に関する支配的なストーリーを異なるストーリーに書き換えることができるように,病者に見通しを語る機会を提供すること
- 2003-06-23
著者
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