オーチャードグラスの出穂制御に関する研究 : VIII.2倍体野生種(D. glomerata ssp. judaica)の春化と花芽分化に対する日長と温度の交互作用
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概要
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オーチャードグラスの出穂の機作とその制御方法を明らかにするため,2倍体野生種Dactylis glomerata ssp. judaicaに由来する1栄養系を供試して,春化と花芽分化に及ぼす日長と温度の交互作用の影響を調査した。本栄養系の春化は高温・連続照明下では完全に阻害されたが,低温または短日はいずれも単独でも春化に有効であった。しかし,低温のみの春化効果は短日のそれより著しく低かった。春化は低温と短日の2条件で処理した場合に最も促進されたが,低温と短日を別々に処理した場合には,低温による出穂促進効果は短日の直前と比較して直後で顕著に高かった。これらの結果から,短日は春化の初期段階で,低温は春化の後期あるいは花芽分化への移行段階でより促進的な役割を果していると推察された。また,短日処理直後の低温処理は,部分春化分げつの出穂を促進したが,その効果は春化段階が進むとともに低下し,完全春化分げつの出穂を遅延させた。
- 日本草地学会の論文
- 1983-01-28
著者
-
佐藤 信之助
九州農業試験場
-
池谷 文夫
農林水産省草地験場:(現)農林水産省北海道農業試験場
-
佐藤 信之助
農林水産省草地験場:(現)農林水産省九州農業試験場
-
川端 習太郎
農林水産省草地験場:(現)農林水産省北海道農業試験場
-
池谷 文夫
北海道農業試験場
-
川端 習太郎
草地試験場
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