輪換放牧における移牧時刻が牛の行動に与える影響

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乳用育成牛の輪換放牧において,8頭の試験牛を2分し,1群は毎回9時(9時区),1群は17時(17時区)に新鮮な草のある次の牧区へ移動した。試験は2年間(5月中旬〜8月中旬)行ない,その間に合計5期の行動調査を行なった。1)17時区の牛がすべての観察期間を通して,9時区の牛よりも採食時間が多かった。17時区の牛の採食活動は早朝と夕方にピークをもつ2山型のパターンであり,自然の日周変化に従っていた。9時区の牛においても夕方のピークはみられたが,早朝のピークは小さくなり,かわって午前中(9時〜12時)に大きなピークがみられる3山型のパターンを示した。これは新鮮な草による採食の刺激が採食活動の日周変化より強く働き,それを牛が学習したためであろう。9時区の牛は日中に採食をするようになった結果,牛本来の採食活動のリズムからはずれ,17時区の牛にくらべて採食時間が短かくなった。この状態は試験終了後の補足期間において,両群を同一牧区に牧容したのちにも継続してみられた。2)これらの牛は8〜9月令であり,試験開始時まで別々の農家で飼われていた牛であるが,それぞれの牧区内においてバラバラにいるのではなく,集団で行動していた。また,その採食行動がみられる時刻もよく一致していた。しかしながら,これら両群を10a程度の同一牧区に入れたところ,そのせまい牧区内においても両群はまざりあわず,別々の群をつくり行動していた。
日本草地学会の論文
1972-12-25

輪換放牧における移牧時刻が牛の行動に与える影響

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