腰痛を防止する新しい移乗介助技術の開発に関する研究
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概要
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介護福祉士等の介護従事者の役割が社会に認知され、今後ますますその活躍が期待されている。しかし、経験があり、技術の高い介護従事者が腰痛を発生し、離職する場合が多いと指摘されている。腰痛の発生には様々な要因が推測される。特に、移乗介助が腰痛発生の大きな原因の一つであるといわれている。長い間、被介助者を持ち上げる介助していれば腰痛を発生するのが当然と受け止められているが、本当にそうなのであろうか。筆者等は施設現場経験から移動介助における腰痛発生の原因が、介護福祉士養成教育で使用される教科書の技術そのものにあるのではないのか考えていた。教科書で示されている移乗介助技術が適切なものではないので、この技術を使用した結果、腰痛が発生しているとすれば、大きな問題である。そこで我々は、現在使用されている教科書の技術内容を検討し、その基本原則を抽出し、この原則に検討を加えた結果、基本原則そのものに疑問があることが判明した。次に、座位から立位までの動作を分析を行った。分析に際しては、健常者、筋力の比較的高い高齢者と低い高齢者、筋ジストロフィー者の協力を得た。動作分析の結果、移乗介助の際の立位概念の変換をすれば、身体に負担の少ない新しい移乗介助技術が開発できるとの確信を得た。その後、介護技術IIの授業をとおして、学生と技術開発を行った。開発した技術の有効性を検証すべく、従来の技術と開発した技術を学生に教授し、どちらの技術が身体的負担が少ないかを比較した。その結果、明らかに我々が開発した技術の方が身体的負担が少なく、被介助者にも安全な技術であるとの確信を得たので、この論文をとおして新しい移乗介助技術を提示したい。
著者
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本名 靖
東海大学健康科学部社会福祉学科
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本名 靖
東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科
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西尾 孝司
東海大学健康科学部社会福祉学科
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平片 朋子
東海大学健康科学部社会福祉学科
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本名 靖
東海大学健康科学部
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