不登校行動の相互作用論的展開 : 入院神経症児のケース分析を通じて
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概要
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不登校を主訴とする入院神経症患児の、治療過程における対人関係的相互作用の影響に着目した。参与観察(participant observation)や資料分析により検討したところ、以下のような結果を得た。1)人称把握(一人称的自我の希薄化傾向,二人称的関係の萎縮,三人称的関係の拡大)の視点から患児の治療過程を概観できるということが示唆された。2)入院加療中の患児の、集団内における状況の客観的ステージは3つのモードに分類できた。また、各モードはactiveな役割を果たす亜相とpassiveな位置にとどまる亜相に分類可能であった。3)入院加療中、患児同志は相互作用により人称把握を変容させつつ、順次3つの相間を移動していく。この変化を5つのパターンに分類できた。4)退院後、ある特定の相を経験したパターンにおいて、良好な社会適応を示した。この相で患児はpeer groupのような二人称的関係に近似の自己表現を学べたため、良好な結果を得たと考えられる。5)不登校の社会療法の一つとして、患児の二人称的関係をより豊かなものに再構築できるよう如何に制度や組織を調整していくかが、臨床の「場」での重要な任務であるということが示唆された。
著者
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