異なる1株植付本数および裁植密度におけるコシヒカリの生育特性 : 第1報 生育収量および乾物生産特性
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概要
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1株植付本数を2,4,8本,栽植密度を標準植(22.2株/m^2),疎植(11.1株/m^2)と変えた場合のコシヒカリの生育収量および乾物生産特性について検討した。結果は以下のとおりである。1.草丈,茎数ともに,1株植付本数が多いほど,また同一の1株植付本数では疎植区よりも標準植区の方が初期の生育が旺盛であり,穂数も多くなる傾向があった。また,これと同様の傾向で葉色は淡くなる傾向が認められた。有効茎歩合は標準植では1株植付本数が多いほど低くなったが,疎植ではほとんど差はなかった。2.収量については,標準植区では1株植付本数が少ないほど高くなったが,疎植区では4本植が最も高くなった。単位面積当り植付本数の最も多い標準・8本植区は最も低収であった。もみわら比は,1株植付本数が多いほど,また同一の1株植付本数では疎植区よりも標準植区の方が低くなる傾向が認められた。3.収量構成要素については,単位面積当り籾数には大きな差はなかったが,1穂籾数は穂数の補償作用として,1株植付本数が少ないほど,また同一の1株植付本数では標準植区よりも疎植区の方が多くなった。登熟歩合は,疎植区では植付本数による差はほとんどなかったが,標準植区では1株植付本数が多いほど低くなった。4.LAIは,全生育期間を通じて1株植付本数が多いほど,また,疎植よりも標準植区の方が高く推移した。乾物重については,LAIと同様の傾向で初期の増加が大きかったが,生育が進むにしたがって差は少なくなった。CGRは,最高分げつ期までは1株植付本数が多いほど,また疎植より標準植区が高かったが,穂揃期以後は,標準植区では傾向が逆となり,疎植区では4本植が高くなった。NARについては,全生育期間を通じて植付本数が少ないほど,また標準植区より疎植区の方が高い傾向が認められた。5.標準・2本植は,シンク量が十分確保された上,NARも高く維持されたため,登熟が良好で多収となったものと考えられる。一方,標準・8本植は,旺盛な初期生育によって過繁茂となり,低いNARによって生育後期では秋落ち的な生育をした結果,穂数は多いが,登歩合が低下して低収となったものと考えられる。また,同一の1株植付本数で栽植密度間について比較すると,標準植で1株植付本数4本以上とした場合,疎植に比べて登熟歩合が低下して低収となったが,これは過繁茂と低いNARによるものと考えられる。
- 日本作物学会の論文
- 1993-12-25
著者
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