うつ病治療中に非アルコール性脂肪肝炎を発症した1例

概要

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症例は飲酒歴のない32歳,女性.27歳時にうつ病を発症し,初診時に,BMI26.7, HBsAg(-), HCVAb(-),肝酵素は軽度の高値(AST 32IU/l, ALT 32IU/l),血糖値は正常範囲,中性脂肪406mg/dlと高値,腹部エコー検査で脂肪肝を認めた.治療により抑うつ症状は軽快し,肝機能は正常範囲で推移していたが,32歳時に,夫婦関係悪化と姉の脳腫瘍手術というライフイベントが発生した.うつ病の悪化と同時に体重が増加(BMI 30.2)し,肝酵素が上昇した(AST 174IU/l, ALT 183IU/l)ため,肝生検を施行し,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が診断された.75gOGTTは境界型であったがインスリンの過剰分泌を示し,インスリン抵抗性(HOMA指数2.28)を認めた.減量は困難であったが,インスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾンが奏効し肝酵素は正常化した.うつとインスリン抵抗性およびNASHの関連が報告されている.本例では,うつ病の悪化が,脂肪肝からNASHに進展する要因になったと推測された.
2007-11-01