電解中性水によるレジン床の殺菌効果

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義歯床装着者の口腔衛生を維持するためには,義歯床を清潔に保つことが重要である.多くの種類の義歯洗浄剤が市販されている.それらは簡便に使用できるが,中にはフレームワークの金属腐食を引き起こすもの,また,アクリルレジン床の劣化の原因になるものもある.本研究おいては,優れた殺菌および殺ウイルス効果を有する電解水について,義歯洗浄剤としての有用性を調べた.加熱重合型アクリルレジン床に2.5×10^5のStaphylococcus aureus 209Pを実験的に付着させた.市販の発泡剤含有義歯洗浄剤を用いて,メーカー指示にしたがい5分間浸漬処理を行うと,付着菌のほとんどを除菌することができた.一方,電解水中ではわずか1分間の浸漬処理で菌を完全に除去することができた.粘膜調整材を裏装したレジン床に対しては,市販義歯洗浄剤での処理では未だ10^3の菌が残存していたが,電解水による10分間の浸漬あるいは5分間の超音波洗浄処理を行うと菌の残存がみられないようになった.殺菌効果において,強および弱電解酸性水,電解中性水間に有意差は認められなかった.電解中性水は保存安定性が高く,塩素臭が最少であり,金属腐食への影響が最も小さく,さらに生体安全性を示すという点で電解酸性水よりも優れていることから,レジンおよび金属成分への影響はほとんどなく,短時間で優れた殺菌効果を示す最適な義歯洗浄剤である.義歯床およびその装着者自身が歯科医院において何らかの処置を受ける場合,医院内における消毒・殺菌にも有効である.
九州歯科学会の論文
2006-03-25

電解中性水によるレジン床の殺菌効果

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