トウモロコシの稈汁ブリックス値と推定糖含量の系統間差異に見られた部位別変動
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概要
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飼料用トウモロコシの稈汁ブリックス値は,茎葉消化率を簡易に評価するための指標として利用し得ることが明らかになってきた。本報では,稈汁ブリックス値を選抜指標として効率的に利用するため,その最適測定部位を明らかにするとともに,稈汁ブリックス値の稈乾物率による補正が系統間差異に及ぼす影響を検討した。実験F_1系統3組合せを供試し,稈汁ブリックス値とそれを稈乾物率で補正した推定糖含量について,節間別に測定値と誤差の大きさを比較した。稈汁ブリックス値と推定糖含量は,下位節間から着雌穂節直上の節間に向かって直線的に増加し,それより上位の節間ではほぼ一定であった。これらの系統間差異もほぼ同様に変化し,着雌穂節直上の節間で最大となった。また,5%水準での系統間の最小有意差は,着雌穂節よりも上位の節間で小さかった。節間別の乾物率の系統間差異は,着雌穂節よりも下位の節間で大きく,それよりも上位の節間では小さかった。また,稈汁ブリックス値と推定糖含量の変異係数の比較から,下位の4節間を除く全節間で稈汁ブリックス値の方が測定精度が高いことが示された。このように,本試験における乾物率の系統間差異の範囲では,稈汁ブリックス値の乾物率による補正の効果は認められなかった。以上の結果とこれまでの報告を総合して判断した結果,着雌穂節直上の節間が,稈汁ブリックス値を茎葉消化率の選抜指標として利用する際の,最適測定部位であると結論された。
- 1994-04-30
著者
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