測定による波束の収縮と粒子線干渉現象のオーダーパラメター(量子力学的観測理論,研究会報告)
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概要
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3月14日の研究会では60分という時間を頂戴したにもかかわらず,私がそのために準備した話にほとんど立ち入ることができませんでした.問題の性質上議論の多発は当然であり,私の話に触発されてそれが起こったとすれば,むしろ光栄の至りですが,もう少し話を聞いてから議論するという余裕があってもよいのではないでしょうか.理論物理には二つのフェースがある.一つは抽象化の方向での数学的理論の構成であり,他は具体的な実験との照合である.観測理論も同様であるが,これまでは特に後者の努力が足りなかったと思う.昔の思考実験が次々に現実の実験として実行に移され,新しい量子現象も実験の方から提示され始めた現在,観測理論も抽象的段階に留まっていることは許されない.具体的実験との照合に私の興味の中心がある.それには,波束の収縮が実現したかどうかを定量的に判定するcriterionまたはオーダーパラメーターがあれば便利だ.私達の多ヒルベルト空間理論[1][2][3]はそれを定式化することができる.私が準備した話は次の通り:(1)測定による波束の収縮とは何か-素朴コペンハーゲン解釈との対比.(2)不完全測定(imperfect measurement)の話と中性子干渉.(3)オーダーパラメーターの導入と測定器モデル.(4)量子力学的ツェノン効果(紙数制限のため割愛-近い内活字化します).話を進めながら,多世界理論,環境理論,Hepp-Fukuda型理論の批判にも触れたい.なお,中性子は原理的実験の素材としては光子や電子にない優れた特徴をもっていることを強調しておきたい.日本における中性子実験の発展は急務だと思う.
- 素粒子論グループ 素粒子研究編集部の論文
- 1991-09-20
著者
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