加熱処理が粗飼料のルーメン内窒素分解性に及ぼす影響
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概要
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加熱処理した粗飼料を供試し,これらの試料についてナイロンバッグ法により経時的な窒素消失率を調べ,その結果をロジスチック曲線にシミュレートして処理温度とルーメン内の窒素分解性との関連を検討した。イタリアンライグラス1番草を刈取後直ちに4水準の温度(凍結,40℃,80℃および120℃)で通風乾燥した試料,ならびに2水準の温度(20℃および60℃)で6日間または12日間埋蔵した試料を調製した。試料をナイロンバッグ法によってルーメン内に2,4,6および8時間浸漬後バッグ内の残渣の窒素含量を定量し,窒素消失率を求めた。窒素分解特性を簡易に,かつ,数学的に明らかにするため,得られた結果をロジスチック曲線,Y=M/(1+Ke^<-aX>)またはY=M/(1+Ke^<-a√<X>>),Yは窒素消失率,Xはナイロンバッグのルーメン内浸潰時間,K,Mおよびaは係数,にシミュレートして分解特性を分類することを試みた。1.凍結乾燥,40℃乾燥および20℃埋蔵試料のルーメン内の窒素消失率は2時間浸潰後ですでに70%以上であった。80℃および120℃乾燥試料の消失率は2時間浸漬後それぞれ45%および30%と低い値であったが,8時間浸潰後にはこれらの値は85%および80%に増加した。60℃で6日間および12日間埋蔵した試料の消失率は2時間浸漬後60%および45%であり,また,8時間のルーメン内浸漬をとおした消失率は20℃で埋蔵した試料にくらべて低かった。2.ルーメン内の窒素消失パターンは飼料を40℃以下で処理した場合と60℃以上で処理した場合とでは異なり,凍結乾燥,40℃乾燥および20℃埋蔵試料では,Y=100/(1+Ke^<-a√<X>>)で,80℃乾燥,120℃乾燥および60℃埋蔵試料では,Y=100/(1+Ke^<-aX>)で表わすのが適当と思われた。3.ルーメン内窒素消失速度をもとに,試料の全窒素を可溶性,不溶性・分解性および非分解性の3つに分画した結果,60℃以上で処理した試料は40℃以下で処理したものにくらべて可溶性画分は少なく,非分解性画分は多かった。しかし,不溶性・分解性画分のルーメン内消失速度は低く,ルーメン内浸漬をとおしてほぼ一定であった。
- 日本草地学会の論文
- 1989-04-30
著者
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