加熱処理が粗飼料の成分変化に及ぼす影響
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概要
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処理温度とADFならびにNDF中に残留する窒素含量および炭水化物の成分変化との関連からヒートダメージ現象を検討するため,5段階の温度設定(40,60,80,100および120℃)で通風乾燥した牧草および2段階の温度設定(20および60℃)で埋蔵した低水分サイレージを調製して試験を行った。1.AD不溶性窒素の割合(全窒素に対する割合)は,通風乾燥の場合,120℃で著しく高く,その値は凍結乾燥時の値が実験1で4%,実験2で10%であったのに対し,それぞれ実験1では16%,実験2では14%に達した。また,グルコースを添加して120℃で通風乾燥するとグルコースの添加量が多いほどAD不溶性窒素の割合が増加した。低水分サイレージでは,60℃で埋蔵日数の経過とともにAD不溶性窒素の割合は増加し,その値は原料草の値が実験1で4%,実験2で13%であったのに対し,それぞれ実験1では13%,実験2では20%に達した。2.構造性炭水化物の成分変化については,通風乾燥試料では,NDF含量とヘミセルロース含量は温度が高いほど増加したが,ADF含量とリグニン含量は120℃で高かった。グルコースを添加して120℃で通風乾燥すると,リグニン含量が増加した。低水分サイレージ試料では20℃よりも60℃の方がリグニン含量は高かった。3.単少糖類含量は,通風乾燥では120℃で低下する傾向がみられた。低水分サイレージでは20℃および60℃のいずれも埋蔵後低下したが,その程度は20℃の方が著しかった。4.これらのことから通風による加熱の場合,60℃以下ではADF中の窒素含量および炭水化物の成分変化に違いがみられなかったが,80℃以上の高温ではADおよびND不溶性窒素の割合,リグニン含量が増加し,単少糖類含量は逆に減少する傾向が認められた。しかし,発酵をともなう低水分サイレージでは埋蔵初期において,通風乾燥での高温処理と同様の成分変化が60℃で認められた。
- 日本草地学会の論文
- 1985-10-30
著者
-
増子 孝義
東京農業大学生物産業学部
-
前田 良之
東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科
-
淡谷 恭蔵
東京農業大学短期大学
-
淡谷 恭蔵
東農大生物生産技術学科
-
前田 良之
東京農業大学応用生物科学部
-
杉村 敬一郎
東京農業大学畜産学科
-
前田 良之
東京農業大学
-
杉村 敬一郎
東京農大
-
杉村 敬一郎
東京農業大学大学院家畜栄養学研究室
-
杉村 敬一郎
東京農業大学
-
増子 孝義
東京農業大学
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