大腸癌患者における手術後血清CEA値測定の臨床的意義

概要

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目的: 血清CEA値測定は,大腸癌患者において,広く普及している検査法の一つである.今回われわれは,術後血清CEA値測定が有用であるかを術前血清CEA値と臨床病理学的因子を加え再発を中心に検討した.対象: 1997年から2001年までに,教室で根治度Aの手術を施行した大腸癌患者399例とした.方法: 術前と術後に血清CEA値をSandwich法で測定した.術後血清CEA値の測定時期は手術の影響のなくなる術後約1ヵ月とした.また,再発の予測に対するモデルを作成しROC分析を行った.結果: 1)再発は399例中68例(17.0%)に認めた.2)術前・術後とも血清CEA高値例は正常値例より再発率は高率であった(p<0.001).術前と術後の血清CEA値の推移では,術前高値で術後正常値および高値になった例では,術前術後ともに正常値であった例に比べ,有意に多く再発が認められた.再発例の血清CEA値は,術前術後ともに無再発例より高値であった(p<0.001).3)再発に対する単変量解析では術前・術後血清CEA値,深達度,リンパ節転移,リンパ管侵襲,静脈侵襲,腫瘍最大径,組織型で有意差を認めた.これらの因子を多変量解析すると大腸癌の再発に対して,術後血清CEA値,深達度,リンパ節転移が再発の独立した危険因子として選択された,ROC分析では判別式のAUCは0.806と高値であり,stage分類の0.766より高値を示した.結論: 術後血清CEA値測定は有用であり,高値例は再発が多く厳重なフォローが必要と考えられた.また,stage分類に術後血清CEA値を加える事により大腸癌術後再発の推測を向上できると考えられた.
順天堂大学の論文
2006-09-30

大腸癌患者における手術後血清CEA値測定の臨床的意義

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