光感作マウスの脾細胞を用いた光アレルギー反応のIn Vitroスクリーニング法の開発
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概要
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3, 3', 4', 5-tetrachlorosalicylanilide(TCSA)によって光接触過敏症(contact photosensitivity;CPS)を誘発したマウスの脾細胞を、未処置マウスに細胞移入した。細胞移入24時間後に、マウスの耳介部にTCSAでCPS反応を惹起した結果、通常のTCSAによるCPSと同レベルの耳介腫脹反応が認められた。次に、TCSAにより光感作誘導処置を行ったマウスを用いて、UVA照射済み光ハプテン(TCSA)塗布および、TCSAを塗布した後にUVA照射することでCPS反応を惹起し、24時間後の耳介腫脹および反応部位(耳介部)に発現するサイトカインをRT-PCR法で解析を行った。その結果、両群とも耳介腫脹は顕著に認められ、それに加えてIL-4mRNA発現も同程度に認められた。これらの結果から、TCSAによって誘導されるCPSは細胞移入により誘発が可能な系であること、並びに、あらかじめUVA照射したTCSAで惹起できることが明らかになった。そこで次に、TCSAによる光感作誘発マウスの脾細胞を用いてCPS反応を、in vitroにおいてTh2型サイトカインの産生を指標に検討を行った。光ハプテン(TCSA)を添加後UVA照射を施す群(I群 : いわゆる、通常の光感作群)、UVA照射済み光ハプテン(TCSA)を細胞に添加する群(II群)および細胞にUVA照射を施した後、光ハプテン(TCSA)を添加する群(III群)の3群構成で、各々の群の培養上清中のサイトカイン量をELISAにて測定した。その結果、特にI群とII群においてIL-4及びIL-5の産生量が上昇傾向にあり、Th2型サイトカインがCPSの反応成立の際に重要であるという過去の実験データと一致した。以上の結果から、Th2型サイトカインの産生を指標にして、光感作アレルギー物質(光アレルゲン)のin vitroによるスクリーニングがある程度可能であることが示された。
- 鎌倉女子大学の論文
- 2007-03-31
著者
-
山崎 俊介
鎌倉女子大学家政学部管理栄養学科
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山崎 俊介
鎌倉女子大学家政学部生理学研究室
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安藤 博文
鎌倉女子大学短期大学部初等教育学科
-
山口 真由
鎌倉女子大学家政学部管理栄養学科
-
安藤 博文
鎌倉女子大学 家政学部 管理栄養科
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山崎 俊介
鎌倉女子大学
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