ヒト内因性精神疾患モデル動物(ボルナ病ウィルス感染動物)の行動解析
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概要
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ルイスラット新生仔脳内に異なる病原性を持つ2つのBDV-CRP3株とCRNP5株を接種し,運動機能障害と行動異常を評価するとともに中枢神経系病変を検索し,両者の関連性について検討を加えた。運動機能障害と行動異常の評価は生後日数(ウイルス接種後日数)に従って3期に分け,異なる行動試験を実施し,試験終了後に中枢神経系を組織学的に検索した。1)幼ラット(接種20日目まで): 従来,CRP3株感染ラットで観察されていた離乳前行動発達試験の結果とは異なり,感染ラットとコントロール群の問には有意差がなかった。これは今回の感染実験では,小脳病変も含めCRP3株接種群には脳の組織病変がほとんど認められなかったことに起因する可能性がある。一方,CRNP5株接種群では14日目にコントロールと比較して有意な差が認められた。尚,これは中枢神経系病変が高度(病変は接種後12日目では軽度であり,接種後16日目は高度)となる時期にほぼ一致していた。CRNP5株接種群では20日目までには高度の脳病変を有し重篤で致死的な神経症状を呈した。2)幼ラット(接種24-28日目): ビームウォーキング試験とオープンフィールド試験ではCRP3株接種ラットとコントロールラットの間では有意な差は指摘できなかった。この時期の主要な脳病変としては海馬歯状回穎粒細胞の散在性核断片化に起因する穎粒細胞層の菲薄化が指摘されたが,これまで成熟後の脳の主要病変とされていた小脳低形成は明らかではなかった。3)成ラット(接種70日目まで): オープンフィールド試験では少なくともCRP3株接種ラットの多動(hyperactivity)が示された。海馬歯状回の障害が多動等の行動異常と関連し,病変の程度が悪化することが,行動異常の顕在化に関連している可能性が示唆された。
著者
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