橋排尿中枢における入出力神経構築の同定 : 第1報入力路を中心として

概要

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ハロセソ麻酔下のネコを用いて,微小電気刺激で排尿が誘発される橋背外側被蓋部の橋排尿中枢を同定した. さらに,同部位に神経標識物質のhorseradish peroxidase(HRP)を注入して,橋排尿中枢の入出力神経機構の構築を解析した.HRP注入部位は青斑核アルファに一致していた.HRPで標識された細胞は,主に,帯状回,直回,前シルビウス回,視床下部背側野,中脳中心灰白質,中脳,橋,延髄の網様体と仙髄中間灰白質に見られた.また,橋吻側を中心とする脳幹網様体と中脳中心灰白質に最も多くの標識細胞が見られた.HRPで標識された神経線維の通過経路は,青斑核複合体の遠心路を構成する吻側および尾側の背側傍室路,小脳へのノルアドレナリン線維,背側ノルアドレナリン束,青斑脊髄路などと一致し,これらの線維束と標識細胞出現部位とを結ぶように細かな標識線維が見られた. これらの標識細胞および標識線維の出現部位は,微小電気刺激で膀胱収縮や弛緩が誘発される部位として報告されている大脳皮質から仙髄までの多くの部位と一致した.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1988-07-20