窒素同位体比を用いた古海洋解析
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概要
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海洋における窒素の動態とそれに関連したδ^<15>N値の特徴は,硝酸態窒素や懸濁態粒子,堆積物などの窒素同位体組成(δ^<15>N)の測定から明らかにされてきた。このような研究によって得られた知見をもとに,堆積物のδ^<15>Nの時系列変動から,過去の海洋における窒素固定,脱窒,硝酸利用効率の変動などが復元されてきた。その結果,海洋の窒素循環が,気候システムと密接に連動していることが明らかにされてきた。 しかし,その一方で,海洋環境や時代によって,δ^<15>Nに影響を及ぼす主要因が異なることも明らかになってきている。本論文では,δ^<15>Nを古海洋研究で利用する際に注意が必要となる,海洋の窒素循環の仕組みとδ^<15>Nの変動要因について解説する。さらに,様々な海域で報告されている堆積物δ^<15>Nの時系列変動の特徴についてこれまでの研究報告をもとに概説し,窒素循環と気候システムの関連性ならびに今後の展望について論評した。
- 2007-09-05
著者
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