私の漢方医学の習得 : 古典的な「証」のとらえかた,新しい「証」の考え方(教育講演・基礎漢方講座,第57回日本東洋医学会学術総会)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
二千年以上にわたり漢方が永続し得だのは,「漢方は効く」この一点に尽きる。二千年前の薬が効くのは,人の体が二千年前とほとんど変わらないからである。一説には400万年の間,人はほとんど進化していないという。しかし我々を取り巻く環境は著しく変化し,アレルギー疾患のような新たな証を引き起こす要因となっている。日本漢方は証を決定する上で,傷寒論・金匱要略を重視している。それ以外の考えを排除する,あるいは傷寒論・金匱要略に収載されている薬方以外は用いない,という行き過ぎと思われる意見もある。しかし証を決定する上で根底を成す傷寒論・金匱要略は時代より変化しているのではないかと思う。傷寒論は林億らの宋改を経ている。金匱要略はまだしも,傷寒論は宋改を経ていない医心方や太平聖恵方と異なっている点も多い。我々は,張仲景が書いた傷寒論・全国要略を重視するといいながら,実は,林億らが書き換えた,あるいは,それ以前に書き換えられていた傷寒論に基づいて証を決定している可能性が高い。ここで注意してほしいのは,書き換えたことがいけないということではない。むしろ,宋板傷寒論は現代によりマッチしていると思っている。我々は,古いスタイルから脱皮することを恐れてはならない。漢方医学は四診をことのほか重視する,といわれているが,これは単に漢方医学が成立した時点で四診くらいしか情報を得る手段がなかったからである。現在の医療機器の進歩にはめざましいものがある。白血球やCRPが上昇している場合は,闘病反応が強いので実の反応と捉えることも可能である。我々は,有用であるものは可能な限り取り入れ治療に当たるべきである。これは,傷寒論の序文にある,「博采衆方」という考えに合致すると信ずる。
- 2007-07-20
著者
関連論文
- 無症候性脳梗塞に対する桂枝茯苓丸の3年間投与後の効果
- 私の漢方医学の習得 : 古典的な「証」のとらえかた,新しい「証」の考え方(教育講演・基礎漢方講座,第57回日本東洋医学会学術総会)
- 病名投与にない漢方薬の思わぬ薬効
- 4. 無症候性脳梗塞に対する桂枝茯苓丸を主とした和漢薬の長期投与効果の検討(学会シンポジウム)
- 未病を治す漢方治療 : 高齢化社会に向かって
- 大陥胸丸の使用経験
- P-81 帰耆建中湯加附子による難治性皮膚潰瘍19症例の検討
- 020 慢性疼痛に対する十六味流気飲の適応病態に関する検討
- 慢性関節リウマチ43症例の検討
- 111 不眠に対し酸棗仁湯合当帰芍薬散が有効であった症例(伝統医学的治療3,一般演題,第57回日本東洋医学会学術総会)
- Yozinkodakuto, a traditional Chinese (Japanese Kampo) medicine, improves the creatinine level in chronic renal failure
- 清暑益気湯が奏効した気管支喘息の3症例
- 私の好きな漢方方剤
- 帰耆建中湯加附子による褥瘡の治療経験
- 酒煎した当帰四逆加呉茱萸生姜湯加烏頭の使用経験 : 清酒がアコニチン量に及ぼす影響について
- 清酒がアコニチン系アルカロイド抽出に及ぼす影響について : 和漢薬資源の適正使用
- 桂枝湯類が奏効したダンピング症候群の4症例
- 高齢者の運動器疾患の漢方治療 : 全人的医療をめざして
- 中村謙介先生のご意見に対する私見
- 長期臥床患者に併発した急性胆嚢炎・胆管炎に対する漢方治療の経験
- 血液生化学検査所見と漢方医学的腹候の関連性に関する検討
- 糖尿病性細小血管症の発症・進展に対する和漢薬治療効果の検討
- 慢性C型肝炎患者に対する補中益気湯の臨床効果 : 気虚病態の有無と効果の関連
- 癌の漢方治療に思う(2)
- 附子中毒33症例の検討
- 29A-09 附子の副作用について
- 内臓脂肪型肥満と漢方医学的所見との関連性
- 苓姜朮甘湯加附子による腰痛の治療経験
- 29C-05 黄耆と晋耆の臨床効果と成分の検討
- 29C-03 内臓脂肪型肥満と漢方医学的所見との関連性
- 漢方医学的脈候, 舌候, 腹候の関連性に関する検討
- 胸部検査所見と漢方医学的腹候の関連性に関する検討
- 30B-12 舌候と血液生化学検査所見の関連性に関する検討
- 30A-11 再燃性前立腺癌に対し帰脾湯加かわらたけが有効であった一例
- 047 無症候性脳血管障害に対する桂枝茯苓丸の短期効果の検討
- 096 不眠に対する抑肝散及び抑肝散加陳皮半夏症例の検討(精神・心身医学・全人医療4, 第58回日本東洋医学会学術総会)
- 百合固金湯が咽の乾燥感を伴う症状に有効であった4症例
- 222 ダンピング症候群に対する桂枝湯類の使用経験(消化器・肝胆膵疾患1,一般演題,第57回日本東洋医学会学術総会)
- 021 黄耆の臨床的応用について(腎疾患,一般演題,第57回日本東洋医学会学術総会)
- ワークショップ漢方調剤に必要な臨床的知識 : 諏訪地域-2
- 《ワークショップ》漢方調剤に必要な臨床的知識 : 諏訪地域-1
- 修治附子末の副作用に関する検討 : これから導かれる修治附子末の使い方
- 咽の乾燥感を伴う症状に百合固金湯が有効であった症例(35湯液 (2), 第56回日本東洋医学会学術総会)
- 189 繰り返す腸管の炎症に大黄牡丹皮湯とその加味方が有効であった症例(39 消化器(3)(炎症性腸疾患(2)))
- 109 附子末の副作用に関する検討(23 副作用)
- 196 耳閉塞感に対する苓桂味甘湯の使用経験(45 耳鼻科・眼科(1))
- 056補中益気湯合当帰芍薬散料が奏功したアレルギー性鼻炎の症例(14アレルギー(2))
- 病名投与にない漢方薬の思わぬ薬効 : 交通事故後遺症(バレ・リュウ症候群)に対する茯苓四逆湯の使用経験
- 136 〓樓瞿麦丸の使用経験
- 065 漢方調剤の院外処方せんに関するアンケート
- 155 カルシウム拮抗剤による頭痛・頭重感に対し五苓散が有効であった2症例(漢方処方・湯液7,一般演題,伝統医学のあるべきかたちとは-世界の潮流と日本の役割-,第59回日本東洋医学会学術総会)
- 「太陽病期を表熱証としてよいのか」について
- 日本古方の応用 太陽病期の治療 (特集 カゼの治療) -- (カゼ治療をめぐる中医学と日本古方の対話)
- 大承気湯について
- 癌の漢方治療に思う
- 213 COPD、間質性肺炎に伴う諸症状に対して人参湯が有効だった3症例(呼吸器疾患,一般演題,伝統医学のあるべきかたちとは-世界の潮流と日本の役割-,第59回日本東洋医学会学術総会)
- 虚実の定義に関する一考察
- 私の漢方医学の習得 : 古典的な「証」のとらえかた、新しい「証」の考え方(教育講演1-学術総会(57)基礎漢方講座10,特別演題,第57回日本東洋医学会学術総会)
- S-4 駆〓血剤の糖尿病合併症進展抑制効果に関する臨床的検討
- 烏頭配合漢方煎出液におけるアコニチン系アルカロイドの挙動に関する研究
- 耳閉感に対する苓桂味甘湯の使用経験
- 線維化疾患への駆〓血剤の応用
- 私の好きな処方 : 黄耆建中湯、帰耆建中湯
- 茯苓四逆湯治験
- 黄耆が奏功した慢性腎不全の4症例
- 激しい筋痙攣を訴える末期肝癌・肝硬変患者に対する和漢薬による緩和医療の経験
- P-65 胸部所見と漢方医学的腹候の関連性に関する検討
- P-64 腹候と身体・血液検査所見の関連性に関する検討
- 臨床報告 COPD,間質性肺炎に伴なう諸症状に対して人参湯が有効だった3症例
- 〓樓瞿麦丸の使用経験
- 苓姜朮甘湯加附子による腰痛の治療経験
- 難治性糖尿病性壊疽に対して帰耆建中湯加附子が奏効した一例
- 次世代に引き継ぐべきもの
- 痛みについて : 漢方医学はかく考える
- 附子中毒46症例の検討
- 黄耆が奏功した慢性腎不全の4症例
- 水質がマオウの煎液に及ぼす影響について:─特に日本と中国の上水道水の比較─
- COPD,間質性肺炎に伴なう諸症状に対して人参湯が有効だった3症例