シートを用いて被覆した牛ふんの堆肥化過程における肥料成分の挙動

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シートを用いた簡易ふん尿処理技術における堆肥の品質や,環境負荷物質の流出抑制効果を屋外の実規模条件で検討した.得られた結果は以下のとおりである.1)堆積終了時における堆肥中肥料成分含有率は,窒素が3.8〜6.6g kg^<-1>,リンが1.5〜1.9g kg〜<-1>,カリウムが4.0〜10.4g kg^<-1>であった.処理間で比較すると,窒素はシート被覆区で未被覆の対照区よりもやや高かったが,リンは両区で差が認められなかった.カリウムは被覆区が対照区を明らかに上回った.2)堆肥からは,いずれの処理区でも半分以上の窒素が消失した.これは,水移動に伴った流出より,アンモニア揮散や脱窒で大気へ放出されるものが多いためと考えられた.3)堆肥からのリンの損失率は7〜10%,カリウムでは23〜47%で,いずれも被覆区が対照区より低かった.また,堆肥へのシート被覆は,雨水の浸入を遮断するため,排出液量を著しく減少させた.このことは,水移動に伴って堆肥から排出されるリンおよびカリウムの抑制に極めて有効であった.4)以上のことから,低コストで簡易なシート被覆によるふん尿管理は,堆肥の肥料的価値を高めるとともに,堆肥からのリンやカリウムの流出を抑制する効果も大きいと考えられる.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
2006-08-05

シートを用いて被覆した牛ふんの堆肥化過程における肥料成分の挙動

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