中学校の「学級風土」に関する基礎的研究 : 「教師項目」を含む尺度作成の試み
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概要
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本研究の目的は,中学校の学級風土を測定する尺度を作成し,学級風土と生徒の適応感との関連を調査することであった。従来,学級風土に関する研究は主に欧米でなされており,Moos(1974)は,学級風土を構成する次元として,「対人関係の次元」「個人の発達と目標志向の次元」「学級の維持・変革の次元」の三つの次元を提示した。これを受けて日本でも,伊藤・塩谷・近藤(1993)が学級風土を測定する尺度を開発し,用いているが,この尺度には教師に関する項目がほとんど見られなかった。そこで本研究では,第一研究として,Moosの三次元における「対人関係の次元」に関して,教師-生徒相互関係についての質問項目を新たに組み込み,中学校の学級風土を測定する尺度として,『学級認知尺度〜あなたのクラスはどんなクラス?〜("How's Your Classroom Scale" : HYCS)』を作成した。ここでは,因子分析によって『親和性』『徒党性』(生徒相互関係:対人関係の次元),『親和的配慮』『熱心な学級運営』(生徒-教師相互関係:対人関係の次元),『けじめ・自律』『不満』『無関心』(個人の発達と目標志向の次元),『活動性』『まとまり』『発言』(学級の維持・変革の次元)の10の因子が得られた。さらに,第二研究においては,学級風土と生徒の適応感との関連を検討した。その結果,学級風土の生徒相互関係(対人関係の次元)における『親和性』と生徒の適応感との間に中程度の正の相関関係が認められた。さらに,発達的な観点から1年生と2,3年生との間には学級風土と生徒の適応感との関連について質的な違いが認められた。
- 九州大学の論文
- 2000-03-10
著者
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