一般演題 34 放射線被曝後に誘発されるTopBP1フォーカスとDNA修復機構
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概要
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放射線被曝した細胞では,様々なタンパク群のリン酸化カスケードにより損傷DNAが修復される。こうした修復経路において,損傷シグナルを仲介するメディエータータンパクとしてTopBP1や53BP1, MDC1などが知られており,それぞれの機能解析が進められている。53BP1はG2/Mチェックポイントと非相同末端結合に関与しており,MDC1はG2/Mチャックポイトや相同組換えに関与している。しかしながら,TopBP1は他のメディエータータンパクに比べると機能解析が進んでいない。TopBP1は,DNA複製タンパクtopoiso-merase II βに結合するタンパクとして同定されたタンパクであり,DNA修復やチェックポイントタンパクに広く認められるBRCTドメインを8つ持つ構造をしている。また,様々な生物種でBRCTドメインを複数持つタンパクが同定されており,ショウジョウバエmus101, 分裂酵母Cut5/Rad4や出芽酵母のDpb11などが機能的ホモログである。最近,放射線照射後にTopBP1はATMからリン酸化を受けること,DNA損傷後にBRCA1, NBS1, PCNA, Rad9やγ-H2AXと共局在する様にTopBP1は,核内にフォーカスを形成することが報告されている。以上のことから,TopBP1はDNA修復に関わるタンパクであると考えられている。そこで,本研究ではTopBP1のDNA損傷部位への局在機構の解明を試みた。
- 長崎大学の論文
著者
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森島 賢一
広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム障害制御研究部門放射線ゲノム学研究分野
-
小林 純也
京都大学放射線生物研究センターゲノム動態研究部門
-
田内 広
茨城大学理学部地球生命環境生体物質科学講座
-
田内 広
茨城大学理学部
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小林 純也
京都大学放射線生物研究センター
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