一般演題 22 ファンコニー貧血D1相補性群細胞におけるRad51 foci形成能と相同組換え頻度の検討
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概要
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ファンコニー貧血(FA)は,再生不良性貧血,先天性奇形,皮膚の色素沈着,低身長,性腺機能不全など多様な臨床症状を示す高発がん性劣性遺伝病である. FA患者由来の細胞は,断裂・ギャップなどの染色体不安定性を示し,ナイミーヘン症候群,毛細血管拡張性運動失調症,ブルーム症候群,PCS症候群などと共に染色体不安定症候群に属している. さらに,FA細胞はマイトマイシンC(MMC)などのDNA架橋剤に対し致死感受性を示す. 近年,MMC感受性を指標に分類された相補性群の原因遺伝子が国際的な競争のうちに同定された. 現在,世界各国でFAタンパクの解析が進められ,以下の事実が明らかとなった. FANCA,FANCC,FANCE,FANCF,FANCG及びFANCLは1つの複合体(FANC複合体)を構成し,下流のFANCD2にDNA損傷シグナルを伝達する. FANCCがcdc2と相互作用する. S期チェックポイントの制御にATMによるFANCD2のリン酸化が必須である. DNA損傷後に形成されるFANCD2フォーカスがNBS1及びBRCA1フォーカスと共局在を示すなど様々な報告がされている. その中で,最も注目すべきことは,FA-D1相補性群の原因遺伝子が家族性乳がん原因遺伝子BRCA2と同一であったことである. 本研究では,FA-D1相補性群に属する細胞を用いてBRCA2の機能解析を行ったので報告する.
著者
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森島 賢一
広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム障害制御研究部門放射線ゲノム学研究分野
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松浦 伸也
京都大放生研 ゲノム動態
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坂本 修一
京都大学放射線生物研究センターゲノム動態研究部門
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坂本 修一[他]
京都大学放射線生物研究センターゲノム動態研究部門
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