地域サロンに参加する高齢者を対象とした転倒予防プログラム : バランス能力維持・改善のための足指体操の有効性
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概要
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背景 高齢になるにしたがい、転倒・骨折を原因とした要介護高齢者数が増加し、高齢者の転倒は、医療や介護における経済的負担ばかりでなく、高齢者自身のQOL低下を招くに至ることから、転倒予防は重要な課題である。転倒予防の効果としては、下肢筋力能力とバランス能の維持向上がいわれ、平成15年度から介護予防の新規事業として、高齢者の筋力トレーニング事業、高齢者への足指・爪のケア事業が始まった。特に近年、パワーリハビリテーションを中心とした筋力トレーニングの効果が報告されている。しかし、バランス能力維持のために足裏や足指の機能回復の重要性は指摘されてはいるが、このバランス能力維持に関した報告は少ない。目的 地域サロンに参加する高齢者を対象に、転倒予防プログラムに足指体操を取り入れた介入効果を評価することである。方法 対象は、地域サロンに参加する2地域の高齢者であった。転倒予防プログラムの効果を把握するために、介入群と対照群を設定し、さらに年齢と性のペアマッチを行い(男性2人、女性9人、介入群の平均年齢79.91±5.30歳、対照群81.18±3.43歳)、プログラムの効果を評価した。介入群における介入方法は月1回、1回約2時間、連続6回、6ヶ月間実施した。対照群は、従来通りのサロン運営であった。結果 Up&Goテストにおいて、介入群では介入後に有意な改善を認めた(p<0.05)が、対照群では介入前後で違いはなかった。また、日常生活の状況や健康関連について、両群ともに介入前後で有意な変化は認めなかった。しかし、健康意識については、介入群で「健康である」とする者が、介入前6人(54.5%)、であったのが、介入後は9人(81.8%)に増加していた。結論 足指・アーチの手入れを中心とした足指体操のプログラムは、高齢者のバランス能を高める効果があることが示唆された。今後はプログラムに、下肢の筋力強化や心理面への介入を加えていくことも必要と考える。
- 2005-03-31
著者
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