栃木県二宮町専修寺に生育する根萌芽するケヤキの実生探索の試み
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
栃木県芳賀郡二宮町の専修寺には、根萌芽する数本のケヤキがあり、そのうちの4本とそれらに隣接して母樹と推定された1本が一括して1998年に栃木県の天然記念物に指定された。専修寺の境内には風致林を中心に23本のケヤキ成木があり、毎年多数の実生を生じる。ケヤキは本来、有性生殖によって生じた種子で繁殖するが、根萌芽特性を持つ実生苗を入手できれば、優良な形質をクローン増殖によって維持し、また天然記念物に指定された老樹の樹勢回復技術に応用できるかもしれない。そこで、本研究ではRAPD分析法と実生の根系に関する形態比較によって根萌芽特性を持つケヤキ実生の探索を試みた。専修寺、無量寿寺、および宇都宮大学構内に生育するケヤキ成木と実生の合計21試料について4本のオペロン社製ランダムプライマーを使用し、RAPD分析を行った結果をもとにUPGMA樹状図を得た。この樹状図は二つの主クラスターと各2個のサブクラスターで構成され、数本の根萌芽成木は異なった主クラスター間に別れた。そのうちの1つのクラスターに含まれた実生の根系の形態と調査地間の形態の比較分析結果を照合した結果、地際直径、側根の長さと基部の直径のそれぞれが際立って大きいという特徴が明らかとなった。
- 宇都宮大学の論文
- 2006-03-31
著者
関連論文
- 渡良瀬遊水地における絶滅危惧種トネハナヤスリ Ophioglossum namegatae M. Nishida et Kurita (ハナヤスリ科)の胞子体の成長様式と個体群密度および生息環境要因
- 葉緑体DNAのRFLPs,RAPD,および外部形態に基づく最節約法によるトチノキ属の系統類縁関係の解析
- 奥日光・小田代原南側山地林におけるササ類の生態とニホンジカによる選択的食害
- クロヒナスゲCarex gifuensis Franch.(Cyperaceae)におけるクローンの構造と季節変化
- カヤ (Torreya nucifera Sieb. et Zucc.) における3つの異なった種子散布型とその適応的意義
- 南米産木本性タケ類の概説とアンデスにおける系統分化
- 南米産草本性タケ類の概説
- 2D-8 単細胞緑藻Ankistrodesmus gracilisにおける同調分裂系の検討
- 栃木県二宮町専修寺に生育する根萌芽するケヤキの実生探索の試み
- 日光杉並木街道におけるセッコク Dendrobium moniliforme (L.) Sw. (ラン科) の分布と遺伝的多様性
- 日本産ササ類におけるRAPDおよび形態形質データに基づく最節約法による系統類縁関係の解析
- コロンビアアマゾン上流部、マカレナ地域における河畔林の樹種と年輪特性
- 日本産ササ類の系統類縁関係はPCR-RAPD法によって分析できる
- コロンビア国ティニグアおよびマカレナ国立公園の熱帯雨林で観察された一回繁殖型草本性タケ類の1種 Pharus viresces の種子散布者
- 南米コロンビア産草本性タケ類Pharus virescensにおける一斉開花・枯死と個体群の回復
- 世界のタケ類の系統類縁関係 : 葉緑体DNAのRFLPs法による解析
- アフリカ大陸に分布する草本性タケ類の1種オリラ・ラティフォリアOlira Latifolia L.は南米から帰化したものか?(伊谷純一郎先生を悼む)