日光杉並木街道におけるセッコク Dendrobium moniliforme (L.) Sw. (ラン科) の分布と遺伝的多様性
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概要
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日光杉並木街道全域に着生するセッコク Dendrobium moniliforme (L.) Sw. の分布状況、分布要因ならびに遺伝的多様性について調査した。分布調査は各スギに着生するセッコクの株のサイズと数を踏査し、4段階の分布度合としてまとめ、分布図を作成した。セッコクの分布度合は例幣使街道が最も高く、日光街道の今市市森友周辺が最も低くかった。大沢、水無 (日光街道)、明神 (例幣使街道)、大桑 (会津西街道) の4地点でセッコクの分布するスギの枝周囲における気温・湿度・光強度を計測した結果、光強度にのみ有意差を認めた。これらの結果をもとにセッコクの分布度合、スギの立木密度および光強度との相関関係を調べた結果、セッコクの適度な分布は、スギの立木密度と光強度とのバランスに依存することが示唆された。セッコク個体群の遺伝的多様性について、RAPDデータに基づくUPGMAによって解析した結果、様々な遺伝距離と生育場所を含む4つのサブクラスターからなる群と、特定の区域に限られ2サブクラスターのみからなる群の2つの主クラスターが検出された。この結果を分布図と重ね合わせると、南北に走る例弊使街道-会津西街道を境に西側の多様性の高い地域と東側の低い地域の存在が示唆された。
- 宇都宮大学の論文
- 2005-03-31
著者
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