皮膚有棘細胞癌の組織学的検討
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概要
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皮膚有棘細胞癌の手術的療法による予後改善を目的として,有棘細胞癌患者104例について検討し,次のような結果を得た。1)pTNM分類では原病死はpT3N1-3,pT4NOに認め,原発腫瘍とリンパ節転移の充分な廓清を一次的に行なえるか否かが,本症の生命予後を分ける結果となっていた。また組織学的にはLeverのgrade分類により,リンパ節転移や原病死を予測するのは困難であった。2)リンパ節転移例および深部臓器浸潤を認めた例,計37例を浸潤転移群とし,それらのない残り67例を非浸潤群として,(1)角化の程度,(2)個細胞角化の数,(3)細胞間橋の状態,(4)腫瘍細胞の異型性,(5)核分裂像の数,(6)腫瘍の深達度,(7)腫瘍巣の浸潤の限局性,(8)間質の細胞浸潤の量について両群の比較を行い,(3)(4)(6)(7)(8)に有意差を認めた。3)有棘細胞癌の癌細胞が形成する病理組織学的構築により,[○!A]角質真珠型,[○!B]角質嚢腫型,[○!C]皮膚粘膜移行部型,[○!D]充実型の4型に分類し,上記の組織学的検討を行った。A型,D型では腫瘍巣の浸潤の境界が限局性でなく,腫瘍の深達度が真皮深層以下のもの,B型では腫瘍細胞の異型性が強く,腫瘍の深達度が真皮深層以下のものが浸潤転移群である可能性が強い。4)組織型とその他の所見としてA型,B型,D型の浸潤転移群は主にT3,T4であったが,C型ではT1,T2の各1例に所属リンパ節転移を認めた。またブレオマイシン投与により,A型,C型では好酸性変性や壊死を広範囲に認めたが,B型ではこれらの変化はほとんど認められなかった。以上のように術前生検標本の病理組織学的所見を検討し,各組織型に特有な指標に合せてリンパ節廓清や皮下深部臓器切除などの手術範囲を決定することが,皮膚有棘細胞癌患者の予後を改善するために重要である。
- 千葉大学の論文
- 1984-12-01
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