ラット臼歯エナメル質形成におけるGタンパクの免疫組織化学的局在

概要

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エナメル質形成におけるGタンパクおよびそれに関わるレセプター,細胞内シグナル伝達の局在を明らかにするため,ラット臼歯を用いてGsα,Giα,L型Caイオンチャンネル,Goα,副甲状腺ホルモンレセプター(PTH-R),Gqα,血管上皮成長因子(VEGF-R),さらにホスホリパーゼC(PLCβ)の局在性を免疫組織化学的に検討した.成熟期では,成熟期エナメル芽細胞,中間層細胞さらに乳頭層細胞におけるGsαの発現は,それらの細胞内においてGiαによる抑制を受けずに,細胞機能に関わっていることが推測された.GsαとカップリングするPTH-Rは,分化期から分泌期エナメル芽細胞の近心端部,さらに成熟期エナメル芽細胞の近心端部のみにやや強い発現性を認め,Gsαとの共在性が認められた.PTH-Rのエナメル芽細胞における発現を認めたことは,従来の機能的な実験手法による結果を加味して,GsαとカップリングするPTH-Rは分化期,分泌期,成熟期エナメル芽細胞の機能発現に関わることが推察される.Gsαとの共在性を認めた分化期,分泌期初期のエナメル芽細胞,さらに分泌期後期エナメル芽細胞にはL型Caイオンチャンネルが発現し,細胞内へのCa^<2+>導入に関わることが示唆される.Gqαを介するレセプターや細胞膜情報伝達系が分化期,分泌期さらに成熟期のエナメル芽細胞と隣接する中間層細胞,乳頭層細胞において,細胞内のCa^<2+>動員を行い,各発育時期での機能発現に関わっていると考えられる.VEGF-Rは,Gqαと同様に内エナメル上皮ではほとんど染色性を認めないが,分化期から分泌期エナメル芽細胞の近遠心端部に強い染色性を認め,Gqαとほぼ同様な染色性を認めた.PLCβは内エナメル上皮,分化期エナメル芽細胞,分泌期エナメル芽細胞の近心端部および隣接する中間層細胞すべてに同程度の染色性を認めた.特に分化期および分泌期エナメル芽細胞においてGqαとPLCβと同様の染色性が認められた.以上より,Gタンパクとそれらに関わるCaイオンチャンネルおよびレセプターはエナメル質形成におけるエナメル芽細胞の各発育時期においてそれぞれの役割や機能に関わることが示唆された.
2006-06-25

ラット臼歯エナメル質形成におけるGタンパクの免疫組織化学的局在

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