既知個体および自身の映像がホルスタイン種去勢牛の隔離ストレス反応に及ぼす影響
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概要
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ホルスタイン種牛における隔離ストレス反応の緩和を目的として、社会的隔離環境に暴露したホルスタイン種去勢牛に、既知個体または供試個体自身の映像を提示して、行動反応および生理反応に与える影響を調査した。供試牛4頭に頸静脈カテーテルを装着し、スタンチョン式の実験室での飼育に馴致した。実験では、他の3頭を実験室から出すことで、対象牛1頭を実験室に残して、社会的隔離環境とした。他の個体を退出させると同時に、ほぼ原寸大の既知個体の映像、または供試個体自身の映像を供試牛の正面約1.5mに設置したスクリーンに、液晶プロジェクターを用いて提示した。対照区の映像は、ブルーバックのみとした。隔離環境に暴露してから0,30,60,90,120,150,180分後に採血を行った。また、採食行動、反芻行動、立位休息、伏臥位休息、立位不動化に費やす時間と、発声回数を記録した。隔離環境に暴露しない状態と、隔離してブルーバックのみの提示とを比較したところ、後者では採食、伏臥位休息、反芻行動の減少傾向(P=0.068)がみられ、立位休息および発声回数が増加する傾向となった(P=0.068)。血中コルチゾル濃度およびACTH濃度に有意な上昇は認められなかった。隔離ストレス負荷時に、映像を提示しない場合は、反芻行動に費やす割合は16.9±6.1%であったが、既知の他個体の動画を映写することによって、反芻に費やす割合が36.0±3.3%と増加する傾向がみられた(P=0.068)。供試牛自身の映像による隔離ストレス緩和の効果は認められなかった。本研究から、隔離ストレスを負荷したホルスタイン種牛に対して、同種他個体の映像を提示することは、反芻行動に費やす時間を増加させることなど、ストレス反応の一部緩和につながる可能性が示唆された。
- 2006-12-25
著者
-
矢用 健一
生物研
-
伊藤 秀一
東海大農
-
伊藤 秀一
九州東海大農
-
矢用 健一
農業生物資源研
-
伊藤 秀一
農業生物資源研究所
-
岡村 裕昭
生物資源研
-
粕谷 悦子
(独)農業生物資源研究所動物科学研究領域脳神経機能研究ユニット
-
須藤 まどか
(独)農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所栄養素代謝研究チーム
-
松山 秀一
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所
-
岡村 裕昭
独立行政法人 農業生物資源研究所
-
大蔵 聡
農業生物資源研
-
岡村 裕昭
農業生物資源研
-
岡村 裕昭
(独)農業生物資源研究所
-
粕谷 悦子
農林水産省畜産試験場
-
須藤 まどか
畜産草地研究所家畜生理栄養部
-
須藤 まどか
畜産草地研究所
-
松山 秀一
農業生物資源研究所
-
森山 隆太郎
農業生物資源研究所
-
粕谷 悦子
農業生物資源研究所
-
大蔵 聡
名古屋大学大学院生命農学研究科
-
粕谷 悦子
岩手大学農学部
-
粕谷 悦子
独立行政法人 農業生物資源研究所動物脳神経機能研究チーム
-
粕谷 悦子
独立行政法人 農業生物資源研究所
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