樋口一葉の『十三夜』におけるセンチメンタリズム
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概要
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フェミニズムの主張を、文学の審美性を損なわずに表現するのは、ある意味で困難である。例えば、樋口一葉の『十三夜』は文学的には勝れているが、作品全体を支配するセンチメンタリズムは、女性に対する抑圧の言説を壊し変革する役割を果たさない。悲劇のヒロインの「涙」は家父長制社会において、究極的に女性が服従を受容するように促す性格や行動のイメージを強化する。しかし、一葉は、男性中心の知的伝統の文化が受け入れを許しもしない経験と感情を伝えるために、感傷の力を利用している。本稿は、小説におけるセンチメンタリズムがどのような力を発揮しているかを検討し、その意義を積極的に評価する一つの試みである。
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