母親不在の誕生 : メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』における「創造性」
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概要
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『フランケンシュタイン』(1818) は、ホラー小説として楽しまれてきたが、近年、アカデミックな文学コースで読まれるべき重要な作品へと変化してきた。それは、1980年代に活躍したフェミニズム批評家たちが、この小説に新たな解釈を与えたからである。本論文では、フェミニスト言説を支持しながらも、それらを適用するよりも、むしろ、メアリ・シェリーの「創造性」に注目した読みを試みる。自分自身の母親体験から発した女性の創造性を強く意識したシェリーは、芸術的な創造力を発揮してこの小説を生み出した。フランケンシュタインという科学者が、無責任にも自らが創造した怪物を見捨てるというストーリーにおいて、作者が意図したところは明らかである。18世紀西洋家父長制社会の中で、この小説は女権拡張を訴えているばかりではなく、階級とジェンダーの対立と偏見を解消して初めて、真の創造力は生まれると説いている。
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