23. Crepis capillarisのカルス形成と器官形成
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概要
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1.試験管中で発芽させたクレピス(Crepis capillaris)の幼植物から,器官-葉・茎・根-を分けて培養し,カルス形成およびその後の分化を比較した。いずれにも,カルス形成が見られたが葉の切片はカルス形成がもっとも顕著であった。その後,葉・茎からのカルスでは葉が分化したが,根からのカルスからは葉の形成が認められなかった。2.さらにカイネチンの濃度のみを変えた4種類の培地を用いて,葉・茎・根の培養を行なったが,いずれの器官からのカルス形成およびその後の分化に対しても,カイネチンを4ppm加えたD培地がもっとも効果的であった。3.つぎにカルス形成の顕著だった葉の切片を用い,効果の多かったD培地を用いて培養し,カルス形成およびその後の器官形成について外部形態および内部形態の観察を行なった。カルス細胞は切片を培地においてから7日目でかなり多く見られるが,そのカルス細胞は,葉の表皮細胞からつくられること,表皮細胞の下にある細胞からつくられること,また葉の切断面からつくられることが観察された。17日目には葉の組織全体に変化がおこり,カルス集団や生長点様の組織がそこここにあらわれる。その後,カルス集団や生長点様の組織などから分化がおこり,葉状体や板状体がカルスの表面に形成される。4.葉状体は発達して葉を形成した。発根は39日目以後に見られた。さらに培養をつづけると約90日で蕾をつけたが管理不行き届きのために開花に至らず枯死してしまった。5.カルス化した葉片の表面の細胞から,先端が数細胞からできている毛状体を形成することが,15日目の固定切片で認められた。6.合成培地を用いた培養において,39日目で根からのカルスに染色体数の倍数化が認められた。葉からのカルスにおいては,さらにいちじるしい染色体変異が見られた。即ち染色体の6本(2n)の正常なもの10%,12本(4n)のもの70%,13本以上の染色体数のもの20%であった。
- 東京女子大学の論文
- 1972-03-25
著者
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