2. 高温度に於けるセメントモルタル及びコンクリートの温度伝導率の変化
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概要
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この研究は既報の高温度に於けるセメントモルタル及びコンクリートの熱伝導率の変化につづき吾国で広く利用される河砂河砂利、即ち砂岩質骨材を使用したセメントモルタル及びコンクリートの高温度に於ける温度伝導率の変化をたしかめたものである。コンクリートの温度伝導率は常温で0.0031〜0.0033m^2/hであり、既報の熱伝導率の変化と同様に温度の上昇と共に著しくその値を減少して、700〜800℃では0.0012〜0.0013m^2/hに過ぎない。Neat Cementの常温値は極めて小さく0.0018内外であり温度の上昇と共に減少して400〜800℃では0.0010〜0.0008となる。各種配合のセメントモルタルは前二者の中間値を採つて常温では0.0022〜0.0028であり同じく温度の上昇と共に激減して700〜800℃では0.0010〜0.0011となる。何れも高温度の値は常温値の40〜50%に過ぎない。従がって火災時には高温度となるコンクリート構造体の内部では、温度の上昇が阻止される。なお仕上用に利用される1:3モルタルの比較的小さな温度伝導率は、常温に於て、或は高温時も亦有効な熱の遮断材である。なお軽石コンクリート及び石炭殼コンクリートはNeat Cementに近い極めて小さな温度伝導率を採り、常温時は勿論、火災時に於ても有効な熱遮断を行うことをたしかめた。プラスター、漆喰等の仕上用材料も大略Neat Cementに近い小さな値と近似の傾向をとり、遮熱用の被覆材としても好適である。その他安山岩質骨材(白川産)コンクリートは河砂河砂利コンクリートの温度伝導率と大差のないことをたしかめた。以上を綜合して今回セメントモルタル及びコンクリート等の高温度に於ける温度伝導率に関する近似式を提案した(Fig. 9)。火災時に於ける鉄筋コンクリート構造体の内部温度を算定するに必要な基礎的な資料の一つである。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1958-03-25
著者
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