犬糸状虫症に対するMilbemycin Dの予防効果

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試験犬217頭を用い, Milbemycin Dの犬糸状虫感染予防効果と安全性について検討し, 以下の結果がえられた.1.野外での感染予防試験において対照群は49.3%の高い寄生率を示したのに対し, Milbemycin D 1mg/kgを感染期間中, 5週間隔で投与した群では, 寄生率0%の結果がえられ, Milbemycin Dの犬糸状虫感染に対する強力な予防効果が確認された.2.犬糸状虫感染犬, および未感染犬に対し1mg/kg, 5mg/kgを投与した結果, 感染犬群29.6%, 5mg/kg投与群45%, 未感染犬では1mg/kg, 5mg/kgともそれぞれ10%の副作用と考えられる症状が発現し, 未感染犬に比べ, 感染犬では有意に副作用の発現が多く認められた.副作用の種類は活動性の低下, 嘔吐, 体のふらつきなどであったが, いずれも一過性で, なんら治療を施すことなく回復し, 臨床上危険性の高いものとは考えられなかった.副作用発現犬では再投薬時に, 副作用がほとんどみられず, この現象を応用し, 副作用発現率低下が可能であると示唆された.3.Milbemycin D 1mg/kg, 5mg/kg, 投与では体温, 心拍数に与える影響は少なかった.4.犬糸状虫感染犬でミクロフィラリア数が投薬直後より著名に減少を示した.5.本試験期間中4頭の試験犬が妊娠, 出産したが, いずれも母子ともに, 異常は認められなかった.以上の結果よりMilbemycin Dは犬糸状虫感染予防薬として, 有効かつ安全な薬剤であると考えられた.
鹿児島大学の論文
1986-03-15

犬糸状虫症に対するMilbemycin Dの予防効果

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