自然発生した犬腫瘍の予後マーカーとしての腫瘍組織と血清中のゼラチナーゼ活性の意味を考える(外科学)

概要

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犬腫瘍予後マーカーとしての腫瘍組織・血清ゼラチナーゼ活性の有用性を検討した.腫瘍60症例を, 病理組織学的な悪性度と炎症(Inf)の有無, および転移・再発(MR)の有無に基づき, Inf(-), Inf(+)の良性腫瘍, (Inf(-) MR(-)), (Inf(-) MR(+)), (Inf(+) MR(-)), (Inf(+) MR(+))の悪性腫瘍の6つに分けた.ゼラチナーゼ活性は腫瘍組織抽出液と血清のザイモグラムからデンシトメトリー法により算出し, リポポリサッカライド刺激した犬単球培養上清に対する相対値で示した.Inf(+)良性, およびInf(-) MR(+), Inf(+) MR(-), Inf(+) MR(+)悪性は, Inf(-)良性より高い組織ゼラチナーゼ活性を示した.Inf(-) MR(-)は, Inf(+) MR(-)やInf(+) MR(+)よりも組織内活性が低かった.悪性腫瘍の血清ゼラチナーゼ活性は良性より高く, Inf(-) MR(+), Inf(+) MR(-), Inf(+) MR(+)悪性はInf(-)良性より高かった.腫瘍組織と血清のゼラチナーゼ活性は正の相関を示した.犬腫瘍症例におけるゼラチナーゼ活性の上昇は腫瘍悪性度のみならず腫瘍侵襲性と相関するが, 侵襲性が低くても炎症を伴う症例では活性が高かった.ゼラチナーゼ活性は病理診断と組合せることによって有用な予後マーカーになると考えられた.
社団法人日本獣医学会の論文
2005-08-25