プロポフォール-セボフルラン麻酔の母体胎子の血行動態へおよぼす影響(外科学)

概要

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妊娠山羊を用い,プロポフォールとセボフルランが母体胎子の血行動態と血液ガスに及ぼす効果を検討した.9頭の妊娠山羊に対して,プロポフォール(5 mg/kg 静脈内投与後. 0.3 mg/kg/mm にて5分間持続注入)による麻酔導入の後,セボフルランによる維持麻酔(2.7と4.1 %で各30分)を行った.麻酔中の母胎・胞子における血圧,心拍数,動脈血pHおよびガス,そして子宮動脈血流量(UBF)をモニターした.母体心拍数は,プロポフォール投与5分後有意に増加し,動脈血酸素分圧の低下とアシドーシスが進行した.その後,セボフルランの吸入により次第に減少し安定した.胎子心拍数もセボフルラン吸入によって減少傾向を示したが,有意差は得られなかった.母体血圧はセボフルラン吸入によって有意な変動はなかったものの,胎子では用量依存性に低下した. UBFに有意な変化はなかった.導入薬としてのプロポフォールは母体に心拍数の上昇と一過性の低酸素血症と代謝性アシドーシスを生じるが,それによる胎子への影響は少ないこと,セボフルランの吸入は母体心拍数および血圧への影響が小さい一方で,胎子に対しては有意な低血圧症を進行させること,がわかった.
社団法人日本獣医学会の論文
2003-10-25