桜島の降灰が土壌におよぼす影響について
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概要
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土壌に対する降灰の影響を知るために, まず灰自体の理化学性を調べた.灰の粒度分布, pH, EC, 水溶性成分量は, 灰試料の降灰場所, 期日によって変動が大きく, 土壌への影響も複雑であることがうかがわれた.多量に採取でき, ほぼ平均的な理化学性値を示す試料を用いて, 地表に灰が堆積した場合と灰が既存土壌と混合した場合の二通りを想定しモデル実験を行ったところ;灰がかなりの厚さで堆積し灰層自体が植物生育の場となる場合, 植物(本研究ではアサガオとコマツナ)の種子の発芽がまず顕著に抑制され, 発芽しても正常な生育は望めないことがわかった.これは, 水分添加により灰層が締り, 硬化することに原因があると考え, 灰層の水分量と硬度との関係を検討した.その結果, 灰層の硬度は水分3%前後で20に達していることがわかった.また灰層の下の既存土壌は, 降雨水の浸透に伴う水溶性成分の移動で, これら成分の富化が起こっていることが示唆された.つぎに灰が既存の土壌と混じり合った場合, その理化学性値は, 土, 灰の混合比率での算術和となること, 極端に高いEC値, 低いpHの灰が多量に混合される場合を除いては, 植物生育にさほどの悪影響はあたえず, プラスの効果のあることも示唆された.
- 1983-03-15
著者
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