放牧地における牛糞および牛糞下の土壌動物相
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概要
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牛糞下で土壌の動物相がどのような特徴的変遷を示すか, とくに糞虫類(食糞性コガネムシ類)に着目して実験的な観察を行った.すなわち, 新鮮牛糞を土壌上に設置し, 糞および糞直下土壌の動物種の同定, 個体数の測定を, 糞を設置していない対照土壌と比較しつつ経時的に行った.設置後比較的初期(1〜2日)に, 糞にクソムシ類とハネカクシ類が飛来した.実験時の5月10日-24日では, 飛来したクソムシ類は, 小型のフチケマグソコガネが優占種であったが, 飛来後も多くが糞中にとどまっていた.中型クソムシ類では, カドマルエンマコガネを主としてオオマグソコガネ, マエカドエンマコガネが, 糞に飛来した後はほとんど土壌中にもぐりこんでいた.1週間以降は, 糞および土壌中のクソムシ類は激減したが, かわりに2週間目には, 土壌中にクソムシ類幼虫がかなり出現していた.これらクソムシ類は, 対照土壌には全く認められなかった.他の動物についてみると, 糞直下土壌では当初, 多くの動物の個体数が相当減少していた.これは, 糞に含まれる多量の水分の影響で, 土壌が過湿となり動物の棲息に不利な条件となったためであろう.しかし, 1週間を過ぎると, 線虫, トビムシ, ダニ類をはじめ全ての動物種の個体数が顕著に増加してきた.ミミズもまた糞直下土壌にのみ7日目から出現し以後増加した.これらのことから, 牛糞および牛糞下の土壌では, まずクソムシ類の動態が特徴的であり, それとともに糞設置後しばらくすると, 土壌が土壌動物群の棲息に好適な条件となって, 動物の活発な活動の場となることが示された.
- 1983-03-15
著者
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